作家や教授、ライフハック系ライター、ブロガー等、様々な肩書・経歴を持つ21名の著名人の情報整理やアウトプットスタイルをインタビューし、まとめた1冊。
一人につき10ページほどで、それぞれのパートに関連性は無いので、興味のある部分から気軽に読めます。
各エピソードには、知的生産に関するポイントを一枚にまとめた図が付いています。
寺島実郎、小飼弾、小山龍介など知のスペシャリスト21名の、書斎、オフィスなどを訪ね「知の構想」現場を取材。彼らの知的生産がどのように生み出されてくるのかを明らかにする。
編者 NPO法人 知的生産の技術研究会
2010年発行
20代から103歳の教育学者まで、経歴やバックグラウンドの異なる方々で、情報整理やアウトプットに関する考え方も異なります。
ライフハックやテクニックを駆使してアウトプットを行う方もいれば、あえて情報を遮断し自分自身の思考を重視して創作活動に取り組む方もいます。
21人の中には、自分と似たようなスタイル・考え方も見つかると思いますが、本書の良いところは「自分とは似ていない」情報管理や仕事に対する考え方へと触れるきっかけにもなる部分だと思います。
私が印象に残った言葉をいくつか紹介します。
小飼 弾氏
他の人が1000回の失敗で音をあげるところを、1万回耐えられるのです。結局、成功というのはあきらめの悪さを意味するのでは無いでしょうか。天才というのは、あきらめが悪い人たちだということです。
田中靖浩氏
今、自分に負荷をかけておかないと怖いなと思っています。
(略)
自分に負荷をかけることは、知を鍛えるためにも、体を鍛えるためにも、人間関係を良好にするためにも、すごく大事だと思うのです。常に自分ができる範囲の110%くらいのところで勝負することを心がけています。
久垣啓一氏
タイムマネジメントの能力は、自分の能力をはるかに超えた仕事量を引き受けたときにはじめて身につくものだと分かりました。
(略)
タイムマネジメントは、今日どうするかとかいうことだけではなくて、一生涯のタイムマネジメントもあるし、10年も1年も1週間も1日もある。
私のブログのタイトル「今日も生涯の一日なり」には、有限な人生をより良く生きようという気持ちが込められています。
「知の現場」目次
第一章 書斎派の人々
常に問題解決型思考で挑む 多摩大学学長・日本総合研究所所長 寺島実郎
1冊のノートさえあれば情報の整理ができる 作家 奥の宣之
知とはイーグル・アイで考え、人と会って話を聞くこと 作家 北 康利
小論文指導こそ我が基本 多摩大学教授 樋口裕一
現代ピラミッドの建設を提唱する 株式会社武者リサーチ代表取締役 武者陵司
宇宙を構想して身の丈で生きる 都市プロデューサー 望月照彦
第二章 フィールド派の人々
温泉で心と体を治し、「温泉学」の確立を目指す 札幌国際大学教授 松田忠徳
鉄道と二宮尊徳が「知」の原点 作家 野村正樹
実体験が「知の源泉」 IT教授 久保田達也
「現場の知」を創造する 多摩大学教授 久垣啓一
領域を超え、大きな流れにつながる 久米繊維工業株式会社代表取締役 久米信行
世界中に手作りおもちゃ教室を広げる 百三歳児・教育学者・しいのみ学園園長 昇地三郎
「世界を書斎に」リベラルな国際活動を目指す 作家 小中陽太郎
第三章 出会い派の人々
イノベーションを生み出すための仕事術 グリーンホールディングス株式会社代表取締役社長 小山龍介
知識よりもアウトプット力 公認会計士 望月 実
Moso力で社会起業家的プロジェクトを 日系商社米国代表駐在員 松山真之助
「オンリーワン人生」を楽しむ 弁護士 桝井一仁
第四章 場所を選ばない人々
自然体で、高いレベルのアウトプットを生み出す 公認会計士 山田真哉
優れたデータベースシステムから優れた企画を生み出す マーケティング・プランナー 原尻淳一
落語に知の究極を見る 公認会計士 田中靖浩
暴れる「情」を「知」で抑える ブロガー・プログラマー・投資家 小飼 弾