敵のティム・ロスを応援してしまう【インクレディブル・ハルク】うろ覚えで映画紹介


アベンジャーズのメンバー「ハルク」の映画です。
2003年のエリック・バナ主演、アン・リー監督の「ハルク」と違い、れっきとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe)の1作品です。
主演のエドワード・ノートンは本作品にてハルク(ブルース・バナー)役を降板、以降はマーク・ラファロが引き継ぎます。

『インクレディブル・ハルク』(The Incredible Hulk)は、2008年のアメリカ映画。

「マーベル・コミック」のコミック作品『ハルク』の実写映画化作品。また、様々な「マーベル・コミック」の実写映画化作品を、同一の世界観のクロスオーバー作品として扱う一大企画『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズの一作品でもあり、そのシリーズでは『アイアンマン』に続く第2作品目の映画となる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

冒頭。道場でエドワード・ノートンと、グレイシー柔術のヒクソン・グレイシーっぽい人がブラジリアン柔術のトレーニング。
「しかしこの、エドワード・ノートンに精神のコントロールの重要性を説いている人ヒクソンに似てるなー…って本人かい!」
といった感じで物語の幕は開けます。
全体的にアン・リー版よりは超ましな緊張感があり、特に冒頭の南米での追跡・逃走シークエンスは普通に燃えます。

感想
所謂アベンジャーズシリーズの中では、その後の主役交代もあり単発作品的な扱いもあってか、映画全体のストーリーはあまり印象に残っていません。
しかし、とても気に入っている部分があります。それは

生身でハルクと戦う敵、エミル・ブロンスキー(ティム・ロス)がかっこ良すぎる

です。

中年の軍人である彼は自分の部隊をハルクに全滅させられ、自ら兵士強化実験(キャプテン・アメリカでお馴染みスーパーソルジャー計画の残り的な薬品を利用)に志願し、驚異的な運動能力を手に入れます。

大学のキャンパスでハルクが暴れまわっているところに駆けつける軍人たちをどんどん走って追い抜きます。

人間のサイズでハルクの攻撃をひらりひらりとかわし、互角に戦うシーンは、どうみても主人公です。

あまりハルクに思い入れが無い人は、この場面は当然完全にブロンスキー側を応援します。
学校で大暴れしている短パン姿の緑色の3メートルくらいある大きい人に、小柄な軍人が対抗しててかっこいいからです。

しかし、というかやはりと言うべきか、最後は思いっきりハルクに蹴られてごろごろと漫画のように回転したあと木にぶつかって全身骨折・再起不能くらいの重症を負い戦闘は終了します。

この時も、軍の頼みの綱のマイクロウェーブ兵器がハルクに破壊され「もういい、退避しろ!」とロス将軍(ヒロイン(リヴ・タイラー)の父親)から無線で命令を受けているのに、そのイヤホンを乱暴に外し、絶望的な状況の中、ハルクに「それだけか!」と叫びながら歩み寄るという、ここだけ切り取ると完全に主人公サイドの動きを見せてくれます。

その後彼は、培養されていたブルース・バナーの血液を注入、怪物になるのですが、私はこのあたりで残念さを感じました。

「アボミネーション」という異形のヴィランの登場は必要だとは思いますが、ティム・ロス単体でのハルク対策をもっと見たかった、という感じです。

ハルク対アボミネーションの重量級対決のCGも、10年前の当時としても特別な印象はありませんでした。

思えば、私は「ラスボスが大きい。または大きく変形」というシチュエーションにはあまり感動出来ないようです。
※「ドクター・ストレンジ」のドルマムゥも然り、後は「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のドゥームズデイも。後は…というか大体そうですね。
※アン・リー監督バージョンの「ラスボスがなんか哲学的なふわふわした感じ」というのはもっと苦手

普通の人間態で強い方が恐怖を感じるし、燃える気がします。

例えば今後バイオハザードシリーズ(ゲーム)でウェスカーが再び立ちふさがるなら、あまりモンスター的に変形しないで普通に歩いてくる感じの方が怖い派です。

エドワード・ノートンとハルクについて

エドワード・ノートン出演の映画を見たのは多分1999年の「ファイト・クラブ」で、その次が「スコア」(2001年、ロバート・デ・ニーロ主演の犯罪サスペンス物)、その次が「ミニミニ大作戦(The Italian Job ※「ミニは車のMINI)」でした。

どれも「エドワード・ノートンは絶対に信用ならない。少なくとも何か別の思惑を隠している」と思わせる(褒めてます)に十分な演技で、もうエドワード・ノートンが出てくるだけで警戒態勢に入ります。
※エドワード・ノートンの別の側面(優しさや正義の遂行)を見せてくれる、同時期の「アメリカン・ヒストリーX」や「レッド・ドラゴン」は後から見ました。

そして「ハルク」はジキルとハイド(とフランケンシュタインの怪物)がベース※の2重人格、自分と自分との戦いがテーマのひとつです。
まさに、エドワード・ノートンはうってつけ、と思いきや、まさに二面性を秘めた彼の俳優としてのキャラクターが、ハルクのストーリー的なサスペンスを緩和してしまうデメリットもある気がします。

温和な人間(少なくともそうであろうとする人間)に、凶暴なモンスターが内在していて、その発露を恐れる主人公が何とか自分をコントロールしつつも、周りの状況がそれを許さない。そして「周りの状況(悪役)」には視聴者もストレスを感じ、遂にハルクが暴れだすところで待ってましたと溜飲を下げる、というのが(コミックや70年代のドラマ「超人ハルク」含めた)基本的なプロットだと思います。

※RollingStone、原作者スタン・リーのインタビューより。
Stan Lee on the Incredible Hulk’s Path to ‘Age of Ultron’

このあたり、エドワード・ノートンだと「え、この人の中にこんな凶暴な人格が眠っていたのか!」というギャップや物語上のインパクトは生まれず「あの人わりとそういうとこあるよね。なんなら普段から怖いし」のように予想の範囲内になってしまうように思えます。

現行ハルクのマーク・ラファロはどうみても優しくて気弱な中年のおじさんなので、これが凶暴で物理パワー最強レベルのハルクになるのは意外性があり、「待ってました!」感があります。

但し、それ故にハルクに変身する前は「普通の人間」である必要があり、ここが「ハルク」単体映画の見栄え的には難しいのかもしれません。
※実際、「ハルク」になれないインフィニティ・ウォーではギャグパートに近い扱いでした。

エドワード・ノートンは映画的に映え、変身前のドラマも惹きつける事ができますが、ハルクに変身する意外性は無く、マーク・ラファロはその温厚な雰囲気から、単体映画を作る場合は変身前パートのドラマにはかなり工夫が必要になると思います。
※現時点でハルク単独作品の予定はありません。


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